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ブランディング
経営インタビュー(2)

Point

  • なぜ建築士だけではなくデザイナーに依頼したのか
  • Webサイト制作について
  • 運営面について
  • (1)
  • (2)
  • (3)

04
なぜ建築士だけではなく
デザイナーに依頼したのか

筒井:
ここからは、ホテルのことに関してお話を伺っていきます。
一般的にホテルデザインに関する部分は、建築会社に依頼して作り込んでいくというイメージですが、なぜデザイナーさんに入ってもらったのか経緯を教えてもらえますか。
宇佐
別府第一ホテルではこれまでずっと、「デザインで伝える」に取りくんできました。そこでunidの櫻井さんに入っていただいて、いろんな仕事をしていただいています。

私たちが目指すホテルには、やはりデザイナーさんがいないと成り立たないと言いますか。最初から“他とは違うホテル”を作り上げたかったという思いはありますね。
筒井:
櫻井さんが関わったのは、全体的なブランディングの部分ということでしょうか。
櫻井
当時は、全体のブランディングまでは着手していませんでした。まずは小さいもの、“タッチポイント”となる媒体のご依頼をいただきましたね。
室内に入ったお客様に、「こういった思いがある」ということをきちんと伝える・表現するためのいわゆるコミュニケーションツールとして、媒体をそろえていきました。

“快適な滞在・眠れるホテル”という点をキーワードにして、そこから羊(のイラスト)が出てきたり。言葉だけではなく印象で伝えていく、というところが私たちは得意なので、そのツールを作っていきました。
宇佐
痒いところに手が届くといったような、細かいサービスのそれぞれの点の部分をデザイン物で見える化していきましたね。
筒井
通常であれば、お金の掛けどころとしてはまず大きなところから、ですよね。 それをあえて“タッチポイント”という細かい部分にかけたのは、別府第一ホテルでの体験からきているものなのですか。もしくはそれが重要だとわかっていてのことですか。
宇佐
都市部であれば“リーズナブルで快適なホテル”は選べますが、人口が10万人以下の都市では少なくなります。そこをホテルだけではなくデザイナーさんに入っていただいて時代に受け入れられ、また、リードしていける宿泊施設にしようとの考えです。

自分たちが取りくんでいる細かなところ、たとえば掃除にしても、しっかりとデザインを用いた見える化をして行きました。

▲ホテルficoのunid制作物の一部。情報が価値に変わりブランドに昇華させている。

筒井
別府第一ホテルでの体験があった中で、次にficoさんの依頼をunidさんが担当されましたが、どのような依頼がありましたか。
櫻井
依頼としては、ロゴ制作と、先の別府第一ホテルさんで作ったツールをそのまま置きかえて使いたい、という話でした。当初は何も決まっていない状態でしたが、先のホテル経営のお話も伺っていましたし、話が進む途中段階で“fico”というホテル名称が宇佐さんの中から生まれました。
宇佐
それをお伝えして絵を描いていただきました。

▲ホテルficoのunid制作物の一部。情報が価値に変わりブランドに昇華させている。

櫻井
ficoは“いちじく”という意味なのですが、“いちじく”を起点に“快適な滞在”とをつなげたようなイメージを抱きつつ、宇佐さんが「地域にとってのスポットとして、開かれたホテル・ひろがり」を考えていらしたので、きちんと言語化をしてお互いの考えやイメージをすりあわせながらデザインを考えました。
筒井
お客様へのおもてなしを考えたとき、デザインを通じてこだわったところなどありますか。
松本
宇佐さんが思い描くホテルの在り方や、成功後の展望を伺う中で、まだまだ途中段階でしたが、宇佐さんが作りたいと思われているficoを表したいなと思っていました。

そこで、宇佐さんの考えていることはどういった事なのかを掘り下げて考えていく中で、“コンフォータブル(心地よい)”という言葉に到達しました。別府第一ホテルは“眠り”に特化していますが、お話を伺っていくと、快適や心地よいという心理的なメッセージ性が高いような印象がありました。

こちらにはミーティングルームや、ホテルであっても運動ができるスペースを備えていたり…。地域の人に開かれたホテルで、光って明るくなるようなイメージですね。ホテルだけではないニーズや役割も伺っていたので、そこをイメージしながらデザインに落とし込みました。“いちじく”もすごく気に入っていただけて良かったです。
宇佐
このデザインはわかりやすい、ぱっと見てホテル名がわかる、というところで決まりました。今じゃ、このロゴにすっかり愛着が湧いていますね。


05 Webサイト制作について

筒井:
ロゴデザインができあがって、今回のようなコンセプトが決まった中で、「如何にして同一性を出していくか」というのもポイントに関わっているかと思います。Webのほうにはどのような要望が来ましたか?
下川
当初は、ありきたりではなく「スタイリッシュさを目指している」と伺っていたので、unidさんの作ったコンセプトを生かして、できるだけ洒落た感じのサイトにしたほうがいいだろう、というところからスタートしました。
筒井:
デザインを受けた時は、Web担当としてどうでしたか?
下川
私としては、譲渡後間もないアルバさんだったころから、何度もお話を伺って打ち合わせ内容もプロジェクトメンバーと共有していたので、「いよいよリニューアルして変わるんだな」という思いでいましたね。

コンセプト情報を集めていく中で、この日出町でホテル業をやるという点に着目し、紙媒体では表しづらい「動き」の部分がWebに求められる表現役割だと感じました。

安らかな眠りを連想して、やわらかい揺らぎ、落ち着く空間、なだらかなカタチを表現できたらと思い、Webデザインを作成しました。

手順に沿ってページを作っていく中で、文の表現や写真なども宇佐さんと細かく打ち合わせして、ディスカッションをしながらお互いの思いを重ねていきました。

そこで、当初希望されていた「スタイリッシュさ重視」では、これからホテルを予約したい方にとっては少し不親切になってしまったり、わかりづらい部分も徐々に見えてきました。

また、ficoさんができあがっていく中で生まれる新しい情報や、定まっていなかった設備面などもページに盛り込んでいきながら、着々と完成に近づけていきました。
宇佐
Webサイトの出来は相当いいですよ。スタイリッシュさを重視したサイト制作からスタートしましたが、ホームページを作るからにはそこから売れないと意味がありませんからね。落としどころを探していって、落ち着いたかなと思います。
筒井:
別府第一ホテルさんでもWebにはすごく力を入れていましたよね。別府は観光地であり激戦区ですが、日出エリアの場合は周辺の状況が大きく違います。ここに力を入れた理由はなぜですか。
宇佐
それは私の中にある「毎日満室」という信条からですね。それをやり遂げるには、いろいろな部分に本当にこだわらないとできない、難しいというのはありました。

現状、日出エリアでのクオリティは見えていない部分もあります。購入間もなくコロナの影響で大きく落ち込みましたから。ここでいろいろなノウハウを蓄積していけば、次につながるという思いがあって。何もここまで大げさにする必要はないのかもしれないけれど、できることはとにかくやっています。
筒井:
そうですね、地域ナンバーワンというのは、圧倒的な地域優位性に必要かなと思います。マーケティング面で見ても、日出町には大手ホテルチェーンが参入していますよね。そこが競合となった時にお客様からどのように比べられるのか、という話を以前もなさっていましたね。
宇佐
fico HIJIは客室数も少ないですし我々の特色を生かし集客努力をしたいです。実績も単価、稼働率、も上昇してきました。Googleのレビューも(以前の2.1から上昇して)4.6になりました。まだ改善すべき課題は多いですが、ある程度良い方向で行っているのかなと感じます。

06
運営面について

筒井:
コロナ禍で現状はなかなか指標にしづらい部分もあるとは思いますが、こちらの物件は購入された時点で築年数20年と伺いました。建物としては若い方でしょうか?
宇佐
若くないですがそれぐらいの宿泊施設は沢山あります。築50年なんかも珍しくありません。メンテナンスは重要ですが。

前オーナーによくよく話を聞くと、こちらのホテルはオープンから10年ほどはものすごく稼働していたけれど、後の10年はそれほど稼働しておらず、エレベーターなど大型設備機械も、それほどガンガン使っていませんし傷みは少ないようでした。
筒井
設備面で苦労された点はありませんか?
宇佐
最初はかなりありました。いろいろありすぎて結構弱りました(笑)最初からリニューアルの予定がありましたが施設のメンテナンスの重要性を再認識しました。リニューアル後はかなり改善されたと思います。
筒井:
集客面でのご苦労はありますか?
宇佐
当初から想定していた通り、やはり苦労しますね。コロナもありますがそれでも徐々にではありますがリピーターのお客様もあり少しずつですが前進していると思います。コロナが落ち着いていたタイミングでは集客できていたと思います。腰を据えて頑張りたいと思います。